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茶道体験で「正座」に迷ったときに

茶禅の茶道体験には、日本の方だけでなく海外からのお客様も多くいらっしゃいます。そこで、初めての方が最初につまずきやすいのが「正座」です。
「どう座ればいいですか?」「正座は必須ですか?」という質問は本当によくいただきます。畳に座る習慣がない方にとって、戸惑うのは当然のことですよね。

実際、海外のお客様が正座でお点前に挑戦されることもあります。こちらからは「楽な姿勢で大丈夫ですよ」とお伝えしているのですが、「せっかくだから一度は正座してみたい」と挑戦される方が多い印象です。とはいえ、やはり足が痛くなってしまうことも。そういう場合は、男性はあぐら、女性は横座りなど、無理のない座り方に自然と移られます。

最近は日本人でも、日常生活で正座をする機会が以前より減りました。だからこそ、「正座ができないと茶道はできないのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが――結論から言うと、そんなことはありません。

茶道=正座、ではありません

「茶道は必ず正座」というイメージは強いのですが、実は茶道の歴史を見ても、常に正座が前提だったわけではないようです。たとえば千利休の肖像画には、あぐらをかいている姿が描かれているものがあります。
当時は武士が茶の湯を嗜む時代。時代劇を見ても分かるように、格式ある場でもあぐらで座ることは珍しくありません。亭主側は正座で点前をする場面が多かったとしても、客側はあぐらで過ごしていた、という見方もできます。

また、武道の世界では礼法として正座が重視されますが、これは「茶道だから正座」ではなく、“道”に共通する礼儀として正座が位置づけられている、と考えると理解しやすいかもしれません。

茶禅では、海外の方でも日本の方でも、お点前に入る前に「どうぞ楽にお座りくださいね」とお声がけしています。

椅子で行う茶道「立礼(りゅうれい)式」という形もあります

そもそも正座をしない茶道のスタイルも存在します。テーブルと椅子で行う「立礼式」です。
明治時代後期、海外の要人を招いた京都での博覧会で、お茶をふるまう際に、椅子に座ったままでも実施できる形式として、裏千家11代家元・玄々斎が立礼式を考案したとされています。

ここから見えてくるのは、茶道が“限られた人だけのもの”ではなく、多くの人に開かれたものであるべきだ、という精神です。現在でも、美術館などの呈茶で立礼席が用いられることがあります。

それでも正座をしてみたい方へ:足がつらくなりにくい工夫

体験は正座でなくても問題ありませんが、お稽古では正座が基本になることが多いのも事実です。とはいえ、痺れたり痛くなったりするのは誰でも同じ。実は少しの工夫で、負担を軽くできます。

正座がつらくなりにくいコツ

  • 重心を少し前へ:足の甲への圧が減り、痛みが出にくくなります。
  • 親指を重ねる(足を軽くクロスする):人によって楽な位置が違うので、自分に合う位置を探してみてください。
  • 膝の間を少し開ける:ほんの少しでも血流が変わり、痺れが軽くなることがあります。(裏千家では着物の場合、女性はこぶし一つ分ほど膝を開ける座り方もあります)
  • 痛みが出てきたら重心を少し動かす:左右・前後に微調整して、負担が一点に集中しないようにします。
  • 座布団や正座用の小椅子を使う:座布団の場合は足先を少し外に出すだけでも楽になります。正座椅子は足に直接体重が乗らないので負担が大きく減ります。
  • 服装を選ぶ:ジーンズなど硬くて締め付ける素材は痺れやすいです。柔らかい生地で、パンツならワイド、スカートならタイトすぎないものがおすすめです。

ちょっとした工夫で、足のつらさはかなり変わります。

本当に大切なのは正座ではなく「互いを敬う心」

もう一度お伝えしますが、お茶の席は「正座ができなければならない場所」ではありません。
海外のお客様は特に、日本文化への敬意を強く持って参加してくださいます。言葉や笑顔、そしてできる範囲で丁寧にふるまおうとする姿勢から、その気持ちは十分に伝わってきます。

茶道が何より大切にしているのは、亭主(もてなす側)と客(招かれる側)がお互いを尊重し、その心を所作として表すこと。
その独特のコミュニケーションの世界を、ぜひ一度体験してみてください。

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